こんにちは!
本日は、なぜCAは乗務前の飲酒が禁止なのか、というそもそもの理由についてお話ししていきたいと思います。
いまや当たり前となったCAの”乗務前のアルコール検査”ですが、
導入直後は、
「飛行機を操縦するパイロットならわかるけど、
サービス担当のCAも、そんな厳しくやる必要あるの?」
という声もちらほら聞きました。
…合コンとかで。
ミモも、現役時代、フ〜と息を吹きかけてましたよ、検査キットに。
お酒を飲んでいないとしても、
なんだか責められた気持ちになる、
あのハラハラ感は忘れられない…
とにかく本日はそういった規定がなぜあるのか、
アルコールを摂取してしまった状態だと、CAの仕事のどういった点に関わってくるのか、
について日系航空会社に5年間在籍しておりましたミモが、詳しく解説していきたいと思います。
ではまいりましょう!
なぜCAは乗務前、飲酒が禁止なのか。
保安要員だから、です。
言うまでもありませんね。
皆さまもニュースなどを見てよくご存知かと思いますが、
本記事の答えはもうこの一言になります。
では、CAとして働く上で、どういった場面で、アルコールを少しでも摂取していると問題が起きてくるのでしょうか。
それは大きく3つに分けられ、
そしてその中には保安要員だけでない、
ちがったところでもこんな危険が!という点が見えてまいりましたので、それらを含め、
具体的にみていきたいと思います。
( ANAもJALも、ちなみに規定としては乗務24時間前、そしてステイ中の飲酒は禁止、となっています)
1、お客様の命をお守りするための、チェックに漏れが出てしまう。
CAの大切なお仕事のひとつ、離着陸前の安全業務、にあたる場面での危険性ですね。
こちらの記事→国内線CAの、1日の仕事を詳しく解説。【お客様搭乗開始〜忘れ物チェックまで】
で国内線のCAの1日の流れについてご説明していますが、
この中の「チェック」という項目。
もう少しで出発!というときに、CAがお客様の腰あたりや背もたれあたりをちらちら見るアレです。
シートベルトをしているか、背もたれは元の位置にあるか、など、
決められたチェック項目に沿って確認していく作業なのですが、
すべて過去の事故やら、国際的に決められたルールをもとに、お客様の最善を考え指示しています。
参考記事ばかりで申し訳ありませんが、こちら→CAはなぜそんな案内をするのか、理由一覧。【守らないとこんな事が起こります】
もご覧ください。
これらの業務はかなり細かく、
お客様だけではなく、ギャレーのすみのカートを抑えるストッパー的なものまで、漏れなく“離着陸に適する状態“にしなくてはいけません。
項目でいったら、CA1人に対し30くらいあるのではないでしょうかね。
客室の長、チーフなんかになると、50くらいに増えるでしょうかね。
アルコールを摂取し、少しでも通常よりぼーっとしてしまうとミスが起こり、
それがひいてはお客様の怪我、CAの怪我、命を奪うことにもつながる可能性は無いとは言い切れません。
(たとえばカートのストッパーが外れたままの状態だと、離陸時に飛行機が斜めになった瞬間に飛び出し、お客様に衝突してしまう)
ですので、CAが決められた飲酒量を守っていないと、こういった業務の遂行に支障がでてしまいます。
2、飲み物やお食事のサービス中、ミスをしてしまう。
こちらもCAにとって大事な、お客様に心地よくお過ごしいただけるための接客業務、にあたる場面での危険性です。
先ほど述べた保安要員という役目以外の、
ちがったところでもこんな危険が!という点がこれにあたりますが、
サービス中に危険なんて〜
カフェのアルバイトも二日酔いでよくこなしてたわ〜
ってお考えになった方もいらっしゃるかと思います。
いやいや、かなり危険です。
おもに国際線になりますが、
わりと頻繁に食物アレルギーをお持ちの方が搭乗され、
そういった方のほとんどは予約の段階で特別食を注文されていますが、
そのような方に、誤って当該の成分が含まれた飲み物、食べ物をお渡ししてしまったら大変な事態になるんですね。
(「アナフィラキーショック」)
CAのミス一つでお客様の命を脅かしてしまう。
「間違えるって馬鹿じゃん」とお思いになる方が多いと思いますが、
機内って、CA1人に対してお客様50人ほどを短時間でサービスしなくてはならない環境。
そして便によっては、宗教食を含め、30種類以上ある特別食の予約が一般旅客を上回る場合もあります。
なのでぼーっとしてしまったら少しのミスで大きなことにつながる。
ですので、このような提供ミスを起こさないためにも、飲酒で起こりうるリスクは0にしなくてはなりません。
3、有事に、適切な判断を下せない。
1番といってもいいくらい大事な、緊急事態時の保安要員、の場面の危険性です。
既出ですが、
こちらの記事→CAはなぜそんな案内をするのか、理由一覧。【守らないとこんな事が起こります】
でも少しお話ししている、”90秒ルール”というもの。
CAはたとえば飛行機に不具合があり、緊急着陸をした際、適切な判断を瞬時にして、それをお客様に伝えなくてはなりません。
脱出スライドの膨らみが足りない!→前方の方が今日は空席があったはず!→自分の担当エリアのお客様はあっちに誘導しよう!などなど。
(この訓練がいちばんきつかったです、新人のころ)
ちょっとでも眠れておらず疲れていようものなら、
ちょっとでもぼーとしてようものなら、
その判断ができず、指示がパッとでてこず、教官にシメられます。
と訓練ではシメられるで済みますが、
実際に飛行機に乗務しだすと、脱出する経路や方法を知っているのはCAのみ。
そのCA、自分のせいでお客様の命をひとつ、無くしてしまったら、と考えるとおそろしいですね。
あとは機内でなにか有事が起きた時。
といってもいろいろあります、急に具合が悪くなった方や、お酒を飲み過ぎてCAに暴言を吐くようなお客様などなど…
また別記事でこういったミモが実際にフライト中に経験した有事についてお伝えする予定ですが、
これらへの対処が、CAひとつの判断ミスで大きなことにつながりますので、
飲酒で頭がぼーっとしてしまってはいけません。
お酒の抜けていない看護師さんに注射されたくないでよね、そんなかんじです。
そもそもなぜCAに酒飲みが多いのか。
個人的な考えですが、
社交的な人が多い、
ワインやグルメにそもそも強い関心がある、
体育会系の世界で生きてきた、
あたりの理由が有力かな、と思います。
もちろんインドア食に興味なし文化系女子も多いですが、
ミモのまわりのコミュニティと比較してみてもその比率は高いかな、と考えます。
さいごに
本日は、なぜCAは勤務前、飲酒が禁止なのか、というそもそもの理由についてお話ししました。
これらの理由で、
そしていろいろな事件があった上で
しっかりとした規定がなされたわけですが、
ミモは現役時代ちょうどその導入真っ只中におりまして、
このころの社内の雰囲気はなかなかにピリピリしていました。
初期は検査キットの誤値も大きかったり、
直前に食べたアルコールの含まれていないもの、マウスウォッシュや歯磨き粉で反応がでたり。
新しい手順が増えること、
そして社内に酒飲みが多いことからも、CA達のストレスレージの上がり幅がすごかった。
お客様の信頼を失うことをしたCAが実在しご迷惑をおかけしたのは事実ですが、
それまでもしっかりと禁酒しているCAは相当数おり。
疑われているかんじがしたんですね。
そして酒飲みのミモとしてもめちゃくちゃきつかった。
こちらの記事→ANAとJALのCA 一ヶ月のスケジュールを徹底比較。【現役CAの実際のスケジュール公開】
でわかるように、CAの休日は月に10日。
フライト前日の飲み会を断ると、
単純計算し月に飲める日が5日以下になってしまって。
テレビで二日酔いの、千鳥の大吾さんを観るたびに、なんだかやるせない気持ちになって…
でも大事です。
いまや禁酒はCAの仕事のひとつ。
以上です!
イギリスになかなか帰れない。
夏服ない。
またお会いできますように。