こんにちは!
本日は、CAの仕事の一つである「スタンバイ」について解説していきたいと思います。
前回の記事→ANAとJALのCA 一ヶ月のスケジュールを徹底比較。【現役CAの実際のスケジュール公開】
では、国際線を乗務するようになった日系CAの1か月のスケジュールについてお話ししましが、
その中に、ANAもJALも“スタンバイ”という日があったと思います。
ご存知の方も多いこの”スタンバイ“ですが、私にとってはまさに、「天国と地獄」でした。
そして年次が上がるにつれ、ドキドキ度が増していくもので、
その理由は後ほど解説しますが、
CAの中でも好き嫌いが分かれる仕事かな、と思います。
なぜ天国と地獄なのか、
そしてCA達はスタンバイ中、どのように過ごすのか。
詳しく解説していきたいと思います。
ではまいりましょう!
CAの仕事の一つ、「スタンバイ」とは。
ずばりこんな仕事です。
「スタンバイ」とは、何らかの理由で、CAの数がそのフライトを飛ばすために必要な人数に満たなくなった時、起用されるため待機することを指します。
簡単に言えば、「交替要員」ですね。
時間は朝の2時〜夜中のうち、大体5〜8時間で組まれ、
自宅スタンバイと出社スタンバイの二種類があり、
自宅スタンバイはその名の通り自宅にてただ待機するのみで、突然かかる会社からの電話にて起用。
出社スタンバイはANAもJALも、羽田空港と成田空港のどちらかに制服を着て、ロングフライトが入っても事足りるくらいの荷物を持って出社し、声で呼ばれるか、放送で呼ばれて起用になります。
過ごし方はこんな感じ。
自宅スタンバイの場合、電話が来てから30分以内に家を出る必要があります。(定時性を守る為すぐに必要なCAの数を満たして飛ぶ必要があります)
また、電話はすぐに取らなければいけないので、すぐ近くに置いておきます。
(取れないとシメられる)
そうです、この2つのルールさえ守れれば何をするも自由です。
私はちなみに準備が早かったので、すっぴん&寝巻きで過ごしていましたが、中には髪だけセットをするというCAや、いや髪もメイクもばっちり、そして制服も着用する、というCAもいます。
映画やテレビを見たり、家事をしたり、
でも突然呼ばれ、すぐ家を出ないといけないので、煮込み料理や洗濯などはできません。
出社スタンバイに関しては、制服を着て会社に出勤し、空いているデスクで自由に過ごします。
オフィス内であり、上司も近くにいるので、基本的にはフライトの予習や、何かの勉強、読書をして時が過ぎるのを待ちます。
そもそもなぜ呼ばれるのか。
理由は大きく分けて3つあります。
まず体調の悪いCAが欠勤した場合。
みなさんも、朝起きて「なんか熱っぽいなあ」とか、「ちょっと鼻水出るなあ」とか少し体調が悪いけど、でもまあ薬飲んで頑張るか、っていう日、あると思うのですが、
CAの場合、そのぐらいの体調でも休まなければいけません。
空の上って特殊な環境で、とりあえず少しの不調は必ず悪化してしまうんですね。
鼻や耳に不調があると、航空性中耳炎になってしまう可能性は大きく、一度耳が詰まると、その後の離着陸で大きなダメージを負ってしまいます。(ひどいと血が流れるとか…)
ミモも2、3回経験がありますが、とにかく痛い…
そういったCAは途中降機となり、遅延の原因や、外地だと交換要員がおらず人員マイナスで飛ぶなど、大変な事態につながってしまいます。
途中降機よりは…ということで休むCAも少なくなく、フライト直前の欠勤は、実際のところ多いんです。
次は機材を替える必要があった場合。
トラブルがあり、飛行機を替える必要がでた時に、
機材により必要なCAの数が異なるので、小さい飛行機→大きい飛行機と変更された場合、呼ばれる可能性が出てきます。
また逆に、大きい飛行機→小さい飛行機に代わるという場合、あなた必要なくなったのでオフで!なんていうラッキーパターンもあったり。
また番外編ですが、雪や台風の影響で、オフになったり、またスタンバイが呼ばれたり、が発生する場合もあります。
3つ目は、フライトの必携品(パスポートなどですね)を忘れてしまったCAがいた場合。
じゃあ代わりにこのパスポートで…なんてことは不可能なので、その時点でCAは「お帰りください」となり、
スタンバイのCAが代わりに呼び出されます。
ミモも、国際線のフライト前のブリーフィングの際、目の前のベテランCAがパスポートを忘れて顔が青ざめ周りがざわつくという光景を目にしたことがあるので、もう夢に見るほど恐ろしいミスであり、忘れ物には本当に気をつけていました。
その代わりに息を切らしてやってきた代わりのCA、とてもしんどそうでしたから…
ミモがCAのスタンバイを「天国と地獄」と言った理由。
スタンバイ天国編
呼ばれなければその日は休日、かつお給料ゲットです。
スタンバイでフライトに呼ばれる確率ですが、大体20〜30%と言ったところでしょうか。
ANAもJALも、スタンバイ時のお給料は基本給に含まれているので“お給料ゲット”までは言い過ぎですが、
一日5〜8時間のスタンバイですので、その日呼ばれなければ、何もせずゆったりとしながらも一応“働いた”という名目になるので、
大きい確率で、ほぼ休日のような感覚で稼ぐことができてしまいます。
体も休ませることができますしね。
スタンバイ地獄編①
呼ばれたらその後のスケジュールは総崩れします。
前回の記事→ANAとJALのCA 一ヶ月のスケジュールを徹底比較。【現役CAの実際のスケジュール公開】
こちらでご紹介した、ANAのCAのスケジュールの2週目をご覧頂くと、9日からスタンバイ→1泊2日の新千歳往復が入っていると思います。
北海道の美味しい海鮮丼を食べる予定でも、ここのスタンバイにもしデリーフライトが入れば、そんな予定も一瞬で吹き飛びます。9日にのみどこかの往復便が入れば、10日以降のスケジュールは変わらないのですが、必ずしもそうはいきません。
スタンバイ地獄編②
呼ばれる国、DUTY(担当)によって、驚きやら、憂鬱感やら、いろんな感情が一気に襲ってきます。
CAによって、苦手な路線ってあるんですね。
ちなみにミモはデリー線が苦手でした。
いろいろと理由はあって、苦手なCAも多いこの路線ですが、心の準備なく呼ばれた日にはもう…!しかもデリーって、ANAもJALも朝がかなり早いので、朝4時に電話で呼ばれようものならもう、けっこうメンタルにきます。
また、DUTYによっては、事前学習がかなり必要である場合があり、
もうそんな場所に入れられようものなら、焦って家を出たと思ったら焦ってフライトの準備を電車でする、という終始バタバタとフライトを迎えることになります。
年次が上がるにつれ、ドキドキ度が増したと冒頭でお話ししましたが、その理由は、
年次が上がると任される仕事の責任感(リーダーポジションを任される)と、事前学習の量が多いポジションに配置されるようになるため(ファーストクラスの料理など)、
例えば急に「これからニューヨーク、ポジションはファーストクラスギャレーで」なんて言われた日にはまあかなり青ざめます。
「これからニューヨーク、ポジションはエコノミーのギャレーで」とは意味合いがかなり変わってくるのです。
さいごに
本記事では、CAの仕事の一つである、「スタンバイ」について解説しました。
よく一般企業の友人と予定を立てる時、私が、
「その日スタンバイなんだーだからたぶん大丈夫なんだけど…」と伝えるや否や、
たぶん大丈夫ならいいじゃん!と言われ
そう予定を入れた日に限ってお呼びがかかり、その日からニューヨーク、なんてよくあり。
友人からしたら、たぶん大丈夫って言ったじゃん、って感じだと思いますけれど、CAの職業柄、裏にはそういった理由と、バタバタ劇があったりします。
そんな感じのCAの「スタンバイ」でしたが、
家にいるだけでお給料貰えていいな〜と思う反面、心臓に悪いかも…!と思う方もいらっしゃったのではないでしょうか。
好き嫌い、本当に分かれます。
ちなみに私は自宅スタンバイが苦手でした。
おうちでゆったりモードなのに、電話一本でフライトなんて残酷!とか思ってたんですね。
逆に出社スタンバイはわりと好きでした。
知り合いがオフィスにいたら喋ったり、勉強できたり。制服を着ているのでいつでも来い、モードでしたしね。
スタンバイ呼ばれたら嫌だな〜たいへんだし。
と現役時代自分を労ってましたが、一番大変なのは、CAの当日欠勤や機材替えを受けて、定時性を守るために、いち早く新しいメンバーを決め電話をする社員の方ですよね。
ほんとうに、毎日お疲れ様です。
以上です!
またお会いできますように。