こんにちは!
本日はCAという職業が、「過酷」と言われる所以についてお話ししていきたいと思います。
飛行機をそこまで利用したことがない人には、
華やかな面ばかり見られ(見て頂け)、けっこう憧れていただける職業のCAですが、
たとえば海外出張の多い某商社勤務の友人には、
「大変なのによくやってんねー、ほどほどに身を引いたほうがいいよ」とよく言われていました。
なんともぶしつけな言葉に聞こえますが、頻繁に飛行機に乗るからこそ、わかることがあり、私に言ってきたんですね。
ではいったいどういったところが過酷なのでしょうか。
CAという職業の、リアルな実情をお話しします。
ではまいりましょう!
CAが過酷と言われる所以①スケジュールが過酷
まずこちらをご覧ください。
日系大手航空会社に5年勤めていたミモが、あるあるスケジュールを作成してみました。
※全て日本時間で記載しています。
うんうん、だいたいこんな感じです。
こんな感じですが、多くのCAが思う過酷ポイントを含んだフライトをしっかりと入れ込みました。
このスケジュールのどこがきついのか、詳しく解説します。
11/5〜7 まずこちら、長距離アメリカ西海岸【羽田⇄サンフランシスコ】
シンプルに体力的にきついです。
サンフランシスコに限らず、アメリカの西海岸へのフライト(ロサンゼルス、シアトルなど)はすべて同じ感じのスケジュールですが、なんと、3日間であんなに遠いアメリカ大陸に行って帰るんです!
フライトタイムは片道およそ10時間。
そして到着から次の日の出発までは24時間ないくらい。食事、入浴、睡眠、準備諸々、生きるための最低限の動きをするだけであっという間にステイ時間はなくなります。
(頑張れば、到着し仮眠したのち、歩いて15分くらいのおしゃれなレストランくらいには行けますよ)
さらに言うと、仕事で疲れ果て、日本時間深夜4時に到着すると、サンフランシスコは朝の11時なので太陽光燦々。本来なら眠るべき時間に太陽の光を浴びてしまうので、体内のリズムが激しく乱されます。
せっかくのアメリカですが、2泊4日の長距離フライトとは異なり、ステイ中はホテルの部屋から出ない、というCAが大半を占めます。
11/11〜12 弾丸フライト【羽田⇄韓国】
こちらのスケジュールは、ホテルで寝る時間が5時間もありません。
21:00韓国着となっていますが、空港からバスで移動し、ホテルに着くのは22:30。食事をとり、シャワーを浴びているとあっという間に24:00に。6:30に集合なので、5:00に起きるとして…
全然時間がありません。
例に挙げた韓国、中国、台湾などの短距離路線はフライトタイムが短いため、ホテルでの時間は「宿泊」ではなく「休憩」としてCAに与えられます。ですのでホテルではあくまで小休止するだけの時間しかないのです。
韓国までフライトタイムは沖縄より短く2時間ほど。たしかにフライトの疲れは少ないですが、韓国→羽田の帰国便がまあ眠い。
集合も遅く、解散も11:00と早いので、ラッキーフライトではありましたが、睡眠不足が否めませんでした。
11/13 南国に1日で行って帰る【成田⇄グアム】
こちらもシンプルに体力的にきついです。
家が成田空港に遠ければ5時起きで、家に帰るのは22時。拘束時間が長く、めちゃくちゃ疲労します。
前日も早めに寝なくてはいけませんし、フライトの次の日も午前中は寝たっきりのことも。
フライトタイムはグアムまで3時間半ほどですが、乗り慣れていないお客様が多く、CAとしてやるべき仕事量も多いんですね。
観光地としては大好きなのに、スケジュールにグアムの文字を見かけるとブルーになってしまうという…
11/15〜17 国内線過酷スケジュール【羽田⇄新千歳】
3日で8本の新千歳便を乗務するこのスケジュール、ミモ的に1番きつかった…
フライトタイムに応じてサービスが増えたり、減ったりするものなのですが、この新千歳便に関しては、フルでサービスする路線の中で1番フライトタイムが短い、という特徴があります。
なのでけっこうバタバタでして、
また、よくお乗りになっており、サービスの目に厳しいお客様も多く、
さらにお土産物などの手荷物も多く、精神的にも体力的にも大変な路線です。それが3日続くものですから、けっこう過酷です。
CAが過酷と言われる所以②深夜勤務が過酷
またミモ作成のスケジュールを載せておきます。
次は深夜勤務のきつさについて詳しくお伝えしますね。
週に1〜2回は深夜便
中長距離のフライトは、行きか帰りで必ず深夜を跨ぎます。(スケジュールだと、サンフランシスコ、ホノルル、シンガポール)
フライトで深夜に起きていたものだから、オフの日に夜目が冴えてきてしまったり、日中に眠くなってしまったり。
歳を重ねるごとに、体に響きました。
11/1〜2 成田→マニラ→羽田
こちらは0泊2日と言いましょうか、どうにも恐ろしいスケジュールでした。
朝は5時に起き、成田空港に向かい、
14:00マニラ着となっていますが、ホテルに移動して、シャワーを浴びて…なんやかんやしていると17時くらいになります。
(このスケジュールですと、11/2に22:00マニラ発と書いてしまっていますが、実際は11/1の22:00です!わかりにくくて申し訳ございません。)
22:00に集合だとすると、20:30から事前学習を含む準備をするとして…3時間強しかゆっくりできず。
結果しっかりとは寝れず、フライトの疲れ(マニラのフライトもきつい!フライトタイムは4時間半ほど。)もあり眠い時間に差し掛かった時にホテルのロビーに集合、そして深夜便乗務、ということになります。
初めてこのスケジュールを経験した時はあまりのきつさにびっくりしました。
こちらはCA達に散々愚痴を言われるスケジュールでしたが、私自身、何回か繰り返すと慣れましたね。
CAが過酷と言われる所以③職場(=機内)環境が過酷
乾燥
喉と鼻の粘膜が乾燥し、風邪は引きやすく、髪や肌の乾燥が進みます。
機内の湿度は10〜20%と言われています。よく砂漠と同じ湿度、と表現されますが、私は行ったことがないので砂漠の湿度がわからない…
調べると、真冬の、とても乾燥した日の外気と同じようです。家の中の湿度として推奨されているのが50〜60%ですので、比べると相当乾燥しているということがおわかり頂けるかと思います。
気圧
少しの不調が、機内では大きな不調に変わります。
また、航空性中耳炎になる可能性も。
もちろんひどく害が出ないよう気圧を調節してるわけですが、それでも、地上が1とすると機内の気圧は0.8。
富士山の5合目と同じ、とよく言われますが、5合目って、ただ歩いているだけでも呼吸が乱れるんですね。(経験あり)
皆さんは、機内で中の空気が膨らんだポテトチップスを見たことはありますでしょうか。人間の臓器も同じように、中にガスがあれば膨張し、痛みやら、不快感やらを引き起こします。
酸素
頭痛や貧血を引き起こすこともあります。
機内の酸素濃度は70〜80%まで落ちます。否応なしに低酸素状態に陥るわけで、地上では元気だったのに、ミールサービス後にはヘロヘロ…なんてことも。
低酸素状態ですので普段より疲れやすく、ひどいと判断能力や視力が低下することもあるようです。
こんな感じで、CAは地上と比べるとかなり特殊で過酷な環境で仕事をしているということがおわかりになりましたでしょうか。
さらに言うと、50〜70kgのミールカートを押し引きしたり、そのカートの下の方にあるミールトレーを膝を曲げて取り出したりという動きもプラスされるので、
例えて言うなら「真冬の富士山5合目でジョギングしている」状態といったところでしょうか。
ちょっと言い過ぎですかね。
とりあえず、過酷です。
さいごに
本日は、なぜCAという職業が、「過酷」と言われるかについて、実情を交えリアルにお伝えしました。
まとめると、
CAの3割ほどでしょうか、上述した過酷ポイントをものともしない人々がいました。
もともといろいろと鈍感であったり、体力があったり。
ほんと、羨ましい限りでした…
一方でほとんどのCAは上述した過酷ポイントが普通に体や心にバシバシ来るので、自分なりにやり過ごす方法を持って、なんとかやりくりしてフライトをしていました。
結局、接客適性があり、コミュニケーション能力が高い人というのは、
誰が何考えてるかとか、
今あのお客様少しムッとしているかも、とか
いろいろなことに敏感であって、CAの過酷な環境も相まって、疲弊してしまう。
なんとあまのじゃくな職業でしょうか。
つまり何が言いたいかというと、
接客適性があり、コミュニケーション能力が高く、
鈍感力と強靭な体力を持つ人はCAは長くCAを続けられる、ということ(笑)
全体的にネガティブな内容になってしまいましたが、ミモ自身、
こんな過酷な環境でも頑張っているCAの姿って、逞しくて美しいと思っています。
CAを目指されている方は体力作りを、是非。
以上です!
またお会いできますように。