こんにちは!
本日は、飛行機が到着→次の便の出発までに機内で起きていること、について、流れを追ってお話ししていきたいと思います。
まさに裏側、ですね。
以前こちらの記事→ANAとJALのCA 一ヶ月のスケジュールを徹底比較。【現役CAの実際のスケジュール公開】
でもお伝えしていますが、どの航空会社もCAは国内線だと平均して3便乗務しますが、
(羽田→新千歳 ⭐︎ 新千歳→羽田 ⭐︎ 羽田→新千歳といったかんじ)
今回はその⭐︎の部分の話になります。(「便間」とも言う)
フライトで気を張ってるんだから一息つけそうなところですが、実際のところはどうなんでしょうか。
日系航空会社に5年間勤めたミモが、解説します。
ではまいりましょう!
フライトとフライトの間で、機内で起きていること。
飛行機が目的地に着陸し、
お客様が全員降りられた後からスタートです。
それまでの流れはこちらをご覧ください。→国内線CAの、1日の仕事を詳しく解説します。【自宅出発〜お客様搭乗開始まで】
国内線CAの、1日の仕事を詳しく解説。【お客様搭乗開始〜忘れ物チェックまで】
そして便間の時間ですが、
スケジュールにもよりますが、平均して30〜40分とお考えください。以下が、その間に起こっていること、になります。
1、CA:忘れ物がないかすみずみまで確認
自分の担当エリア(およそ50席分くらい)の、席まわり、窓と席の隙間、上の棚などをくまなく捜索し、
お客様の忘れ物がないかを見て回ります。
旅行先にこれから向かわれるお客様のカメラ、実家に帰省される方のお土産袋、サラリーマンのスマートフォンなど、
ここでCAが見逃してしまうと出発地にそれらだけ舞い戻ってしまいお客様が大変な思いをすることになってしまうので、
すみずみまでしっかりと探します。
見つけたらグランドスタッフさんに渡し、引き継ぎます。
2、整備士が(必要があれば)登場
後述しますが、機内の設備、そして物品でなにか不具合があった場合、この便間で直していただく必要があります。
たとえば背もたれが倒れたまま戻らないという場合、
直りきらないと、その座席の販売はできません。(安全上の理由の為)
なのでそういった事態が起きてしまった場合はまっさきに整備士さんに来ていただき、
その技術をもってしっかりと直していただきます。
不具合があった場合、なので、とくになにもない場合は、機内に入ってこられることはとくにありません。
なんでも直してくださるので、神に見えます。
3、1とほぼ同時並行で清掃スタッフが破竹の勢いで突入
お客様が全員降りられたと同時に、清掃スタッフがとんでもないスピードで客室に入ってこられます。
とくに大型の飛行機となると総勢30名以上といったところでしょうか、スタッフの方々が「もういい?入っていい?」とじりじりと構えてらっしゃって、
その発される圧たるや、すさまじいものがあります。
定時性を守るプロ集団のうちの一つで、
清掃、そして機内誌やイヤホンなどの補充、ギャレーや化粧室のゴミ箱の取り替えをとてつもないスピードでミスなくしてくださいます。
4、つづけて搭載スタッフが突入
厳密に言うと毎回ではないのですが、
ギャレーにある、お客様に提供するアイテムを運んでくるスタッフがこちらも早い段階でいらっしゃいます。
お食事、飲み物の紙パック、コーヒーバッグなどですね。
機内はドラえもんのポケットのように収納場所が無限にあるわけではないので、
だいたい2便飛んだくらいでいろいろなものが足りなくなってきます。
ですのでそれらを倉庫や冷蔵庫やらから持ってきてくださいます。
もうこの時点でCAの居場所は無いくらい、客室は数えきれない数の人でごった返しており、さらに前の便が遅延してようものなら…
そのピリついた空気は今でも忘れられません。
5、CA:ギャレーを整える
ここらでやっとCAのお仕事タイムです。
まあ実際は、忘れ物捜索が終わり次第、担当CAはギャレーにてできることをやっていますが、
(その場にいると邪魔なので)搭載スタッフの動きを優先、その間ほかにできることをやります。
アイテムが搭載され終わったら、きちんとお客様にサービスできる分が載っているか確認したり、
次のフライトですぐサービスに入れるよう、事前準備を軽く行います。
6、CA:清掃が終わったら漏れがないか確認する
こちらもCAのお仕事タイム。
ほとんどの航空会社がそうだと思いますが、
ギャレー担当以外のCAは、キャビン担当(客室担当、ってことですね。居酒屋のアルバイトで例えると、ギャレー→キッチン担当、キャビン→ホール担当くらいのニュアンス)とされ、
お客様の座席や提供アイテムの責任者となります。
ですので、5番でお伝えした以外のCAは、客室内がお客様をお迎えする状態にあるか、
清掃スタッフさんのしていただいたことをダブルチェックする形で見て回ります。
7、CA:毛布をたたむ
はい、こちらミモの嫌いな毛布をたたむタイムです。
なんでか手が荒れるんですよね。
おもにキャビン担当が行いますが、ギャレー担当も、自分の仕事が終われば手伝い、皆で行います。
ANAにもJALにも貸し出し毛布がありますが、
(ANAは青色、JALはネズミ色)
それら、じつはCAがたたんでるんですよ…
フライト中よく毛布がでたときは、
お客様が降りられた後、一気にたたむためにある程度集めるのですが、その山は軽い丘くらいの大きさはあり…
とてつもなく時間がない時は清掃スタッフやグランドスタッフの方などが手伝ってくださいます。ありがたや。
8、CA:小休止
上述したこれらをすべてクリアした上でやっとCAは一息つくことができます。
はじめに「次のフライトまで30〜40分」とお伝えしましたが、もうこの時点でこのくらい経ってしまっていることがほとんど。
フライトに空席があればあるほど、休憩時間は多く取れ、
そして悲しいことになにか問題が発生したり遅延があればその分削られるのがこの時間。
ですのでCAの休憩時間は、とれて5〜10分、といったところで、これはかなりかなりラッキーなほうです。
ちなみにお弁当は、JALよりANAのほうが格段に豪華です。
9、チーフ:グランドスタッフと次の便についてのミーティングを行う
そしてまもなく次のフライト、という時、グランドスタッフさんが機内にやってこられ、
客室の長、チーフと次のフライトの概要について打ち合わせをします。
(24Bのお客様はバイオリンお持ち込みで24Aの座席に置かれます、とか、1Aのお客様は某大企業の社長で以前こういったクレームをされました、とか)
そしてそれをチーフはCA達に伝え、次のフライトの最終出発準備に取り掛かります。
…と、あまり知られていないフライトとフライトの間、「便間」は、こんな流れになります。
時間の余裕があればCAはこの便間に小休止として、座って飲み物を飲んだり、お食事をいただいたりできるんですね。
航空会社によりますが、
タイムスケジュールによって便間が異様に長い場合、
飛行機から出て、空港の売店でお買い物をすることも可能になります。
ただこれはほんとうに稀で、
たとえば羽田⇆石垣島の往復2便を乗務するという場合、
よく友人に、「いいなあ石垣島行けて!」など言っていただけますが、
実際は石垣島に着いても機内にいるだけ。
搭乗口から流れ込む南国の空気を若干味わえるかな、くらいです。
CAはいつごはんを食べるの?
冒頭でお伝えしたスケジュール(羽田→新千歳 ⭐︎ 新千歳→羽田 ⭐︎ 羽田→新千歳)の場合、
2つの☆のどちらかでごはんをいただきます。
タイミングは自分の好きな時でかまわないのですが、
たとえば1便目が朝早く、お客様が少なかった場合、降機に要する時間もかからず、余裕を持って上述した準備を終わらせることができるので、
そのタイミングで一斉にいただくことが多く、
またお客様の搭乗人数をCAは把握しておりますので、
フライトが始まる前から、
「ごはん食べるとしたらこの便間だなー」
と企んでいたりします。
逆に満席つづきであれば、まったく小休止を挟めず一口なにかを食べればよし、といった時もあり…
つまりなにより定時性を優先しなくてはならないんですね。
ただ最近はこの地獄も改善されつつあり、
客室の長であるチーフには“CAにごはんを食べさせる義務“がしっかり課せられ、
そして地上スタッフもCAの業務を手伝うなど、
良い方向に向かいつつあるのは事実です。
各地上スタッフとの絡みはあるの?
あります、ただその多くは一言二言の業務連絡くらい。
・整備士…コクピットを含め、機内でなにか不具合(ギャレーから変な音する、とか、天井から水が垂れる、とか)があった場合、それをお伝えして、
便間のうちに直していただきます。(便間のうちに直せない、かつ飛行に影響がでる大きさの場合、その飛行機は「整備不良」となり、その後の便は欠航になります。=稀)
繰り返しますが、神のような存在です。
・清掃スタッフ…床がリンゴジュースで濡れているなど、プラスアルファの処理が必要な場合にお手伝いを依頼することがあります。
いつも綺麗にしていただいて…ありがたい存在です。
ですのでお客様、座席まわりは濡らさないようお気をつけください…
・搭載スタッフ…たとえば前のフライトに修学旅行生をお乗せしており、
普段よりリンゴジュースばかり減ってしまった時など、追加の搭載をお願いする場合があります。
こころよく持ってきてくださり、CAは感謝でいっぱいです。
さいごに
本日は、飛行機が到着し、出発するまでに機内で起きていること、についてお話ししました。
起きていることについては、
流れを追って説明させていただき、
CAの休憩時間らしい、という噂については、「やることさえ終えれば基本的に休憩時間だが、やることが終わらなければ休憩時間ではない」
というのが答えになります。
ミモは根っからのゆとり、
お腹が空くと動けないタイプの人間なのですが、
はじめて国内線の“休憩なし3レグ“を飛んだ時びっくりしました。
こんなんつらすぎる、と。
その後慣れましたけど。
(こんなのばっかり)
以上です!
またお会いできますように。