こんにちは!
本日は、ミモが日系CAとして働いていた5年間のうちで遭遇した、機内で起きた事件について、お話ししていこうと思います。
以前あげたこれらの記事→機内で急に、180cmの男性のお客様が私に向かって倒れてきた話。【フライト事件簿①】
機内でドクターコールをし緊急着陸をした話。【フライト事件簿②】
の続編ではありませんが、
フライトドタバタシリーズ第三弾、です。
機内ではたくさんの事件が起き、それらを表情一つ変えずに対応できるかもCAの大切な資質でありますが、
この時は正直、できませんでしたね。
記憶が薄れてしまわぬうちに。
ちょっと汚い話なので苦手な方はお控えください。
ではまいりましょう!
お子様にマーライオンされ制服もろともぐちゃぐちゃになった話。
フライト概要
あれは確か7月に入ったばかり、とある沖縄18:30発、羽田21:00着のフライトにて、それは起こりました。
飛行機の機種は767-300ER。
国内線では真ん中のサイズくらいの飛行機です。
沖縄⇆羽田のフライトは、前記事→機内でドクターコールをし緊急着陸をした話。【フライト事件簿②】
でも事件が起こったように、疲れている方やバケーション気分で体調を壊してしまわれるお客様が多く、
フライトタイムは2時間前後あり国内線の中でも“ロングフライト“であるものの、なにかと事件が起きやすくバタバタしてしまいがちなフライトでもあります。
ミモのポジション
CAは全部で7人。
ミモはその日、着席しているお客様から見て最前方の右側、R1というポジション、ANAではプレミアムクラス、JALではファーストクラスやクラスJといった上位クラスが設定されている通路が担当で、
L1のチーフパーサーとバディです。
ちなみにR1にはもう1人CA(ミモより後輩)がいます。
この頃は国内線乗務にはかなり慣れ、
リラックスした気持ちでお客様とお話しできるような余裕があり、何か起きても冷静に対応できる力が自分にはあるはず、
そんな感じに思ってしまっていましたね、
あの時までは。
フライトはバタバタしつつも平和に終わる
長いフライトでしたが何もトラブルは起きず、
お客様もリラックスされ、
チーフパーサーもとても優しく機転のきく方でしたので、ミモも終始楽しんで飛ぶことができました。
すべての仕事を終え、飛行機は着陸態勢に入り、席に着きながら、「家に帰ったら何を食べようかなあ」など呑気な事を考えながら窓の外の夜景を見たり、
隣の席に着いている後輩CAと小話をしたり。
(本当はだめですよ)
そんなこんなで羽田空港に無事着陸しました。
羽田空港に着陸し、お客様の降機が始まる
時刻は21:00。
沖縄でたくさん活動をされたお客様達の顔に、さすがに疲労の影が見えます。
これから空港を歩き、荷物を受け取り、交通機関で自宅まで…
考えただけでも、立ち上がった瞬間にどっと疲れますよね。
CA達がドア周辺の安全が確認した後、お客様の降機が始められ、前方ドア、
こちらですね。
こちらからぞろぞろとお客様が降りて行きました。
ミモはここ(◯の場所)に立ち、ドアに向かって来られるお客様に「ありがとうございました」「またのご搭乗をお待ちしております」などとお声掛けをしながら、お見送りをしておりました。
3歳ほどのお子様を抱えた、少し焦った様子の男性のお客様がミモの近くを通ろうとする
お客様が2/3は降りた頃でしょうか。
この頃から、だんだんと、荷物をまとめるのに時間がかかり、すぐに降りることができなかった方やお子様連れの方が増えてくるのですが、
その方もまさに。
大荷物を後ろに抱え、両手に3歳ほどの、男児を抱えた男性のお客様が、少し早歩きでミモに向かって歩いて来られました。
ミモとそのお客様との距離は3mはありましたが、少し焦っている表情が読み取れました。
お子様の顔はミモから見えない位置にあり、眠っているようなご様子。
「電車に間に合うよう急いでいらっしゃるのかな」、「お子様を起こさないように車まで急ぎたいのかな」などと考え、近くにいらしたらお声をお掛けしよう、そう思っていました。
通り過ぎる瞬間にお子様が飛び起きマーライオン、ミモはクリーンヒットを食らう
どうしたのかな、なんて考えているのも束の間、
気づけば目の前にいらっしゃったので、
「何かお手伝いしましょうか」、そんな言葉を言おうとした瞬間、眠っていたお子様がお父様の腕の中でムクリと上半身を起こし、青白い顔をミモの方にしっかりと顔を向け、
今だ!と言わんばかりに、胃の中の全ての内容物を吐き出されました。
すべてがスローモーションになって見え…
自分に向かって降ってくる吐物、お父様の声、周りのお客様の動揺…
ゆっくりと過ぎる時間の中で、唯一時が止まってしまったかのように固まる私。
今思い出しても正直ゾッとしてしまうのですが、制服の下半分でそれらをしっかりと受け止める形となりました。
驚きの光景に固まる人達
出口ドアに佇む、とっても優しく機転のきくチーフパーサーもその瞬間をまさに見ておりましたが、
驚きとともに一瞬の事なので固まる。
ミモはもちろん、いろんな意味で固まり続ける。
お父様も、どうしたらいいかわからず焦り固まる。
またその後ろに降機を控えていた他のお客様もびっくりして固まる。
唯一、ミモの少し後ろのギャレー内におり惨事を免れた後輩が、落ち着いてそして冷静に対応してくれました。
すかさず冷静な対応をする後輩とその他人物の動き
以前こちらの記事→いただいた質問に答えます。【マシュマロ⑦】
で、機内での“吐物対応“について書かせていただいていますが、もうまさにその通りにささっと動いてくれた後輩。
今一度簡単にご説明すると、
CAはマスクと手袋をはめる
→すぐに新聞紙などを吐物の上に敷いてその上から除菌スプレーを大量に吹きかける(ウィルスの飛散を防止する)
→不織布やペーパーで吐物を床から取り除きビニール袋の中に入れる
→その後もフライトが続くようなら、該当箇所への新聞紙+除菌スプレーは継続する
こんな感じ。
あの時の後輩CA、スーパーヒーローに見えた…
と後輩がまず動いてくれたことで目を覚ましたチーフパーサーは、後ろに詰まっていたお客様をもう一つの通路に誘導して降機を促し、
ミモに憂いの目を向けつつ、
お父様にタオルやティッシュペーパー、ウェットティッシュなどを渡しお子様をケアしていただき、
当のミモはギャレーの奥にこもり、
これから空港も歩くし、会社に戻ってブリーフィングもあるもんだからなんとかしなくてはと制服を必死に拭き続けます。
お父様とお子様を見送る
申し訳なさいっぱいの表情で謝ってくださるお父様と、青白いお顔をしたお子様を、
ミモは制服がまだ大変なことになっておりましたのでギャレーの奥から顔を出してお見送りをし、
(「全然大丈夫ですので」「お気になさらないでください」などと言いつつ)
もちろんびっくりしなかったと言ったら嘘になりますが、マーライオンなんてもうどうしようもできない生理現象なのでそれ以外の感情は生まれず。
ただ頭に残るは綺麗にお口から噴射される瞬間のスローモーション映像と、
人間、びっくりすると声も出ず動けなくなるということ、
飛行機って密閉された特別な環境で、体調が悪い時にすぐに降りれない、救急車も呼べない、
(今回は着陸後、でしたが)
また体調だけでなく、何か混乱があった時に警察も呼べない、
それをなんとか処理し、抑え、秩序を守っていくのはCAの仕事だということ、
などなど…
改めて再確認した経験でもありました。
(今回のフライトでその仕事をしっかりとこなしたのはミモではなくスーパー後輩CAですが)
さいごに
本日は、お子様にマーライオンされ制服もろともぐちゃぐちゃになった話、というお題でお話ししました。
その後ですが、お子様はすっきりされたようで、車椅子など使用されずそのままお父様に手を引かれたながらご自宅に向かわれ、
どろどろのミモはなんとか汚れと臭いを拭き取り会社に戻り、ブリーフィングをし業務を終えました。
(感染症の危険性から本来はだめかもしれない、本来だったら持っている服に着替えるべきかもしれない)
この経験の後は、フライトをする度にご家族連れのお客様、特にそのお子様の体調が気になって気になって。
マーライオン後、お子様も疲弊しきっていましたし、
お父様も申し訳なさや驚きでたいへんな心労であったと思いましたし、
難しいとは思うけれど、こういった事を未然に防げたら、と考え行動するようになりました。
なるべくお話をしてこまめに体調を確認したり、できるお手伝いをしたり。
CAとしてできることは本当に少ないですけれど。
自分が3歳の頃の記憶というものはもう本当に無いに等しいのですが、
それでもやはり車に酔いやすかったり、
少しの体調の変化で吐き気を催したりはしたかなあ。
なので飛行機はお子様にとってかなり過酷な環境であると思っておいて良いのかなあ、とも思いました。
そして何かが起きてしまった後でも前でも、機内ではお子様への配慮、そしてその側でつねにハラハラしているご家族への配慮って心底大事だな、と…
あとは、“CAの適性“という面で、
たとえば面接で、
JALであったら謙虚で上品であったら良いってわけでもなく、
ANAであったら逞しく個性があったらそれでいいってわけでもない、
その奥にある判断能力やら冷静さを見られており、
短い時間の面接でその人の雰囲気や話し方などで伝えることができることが理想ですが、大抵は言葉で伝えないといけないわけで、
それも考えてESや問答を考えておかなくてはならないんですよね。
…と本来であれば、このブログなどでCAを目指されている方々の援助をしたかったので…
今の状況がとても悔しい。
またメランコリー。
以上です!
またお会いできますように。