こんにちは!
本日は、CAになるために身長はどれくらいあれば良いのか、という題でお話ししていきたいと思います。
低身長の方が就職活動でCAを受験するにあたり、まずぶち当たる壁が「身長制限」だと思うのですが、
巷では、
「150cmあれば大丈夫!」とか、
「高ければ高いほど有利になる!」などいろいろと言われていますが、
日系航空会社に5年間在籍していた筆者の経験上、
実際のところはどうなのか、
そして何故身長制限があるのか、
本日はANAとJALに焦点を絞り、詳しく見ていきたいと思います。
ではまいりましょう!
ANAとJALのCAになるために身長はどれくらいあれば良いのか。
ミモの答え
155cm以上あれば安心です。
たとえば153cmの方であっても、身長が原因で落ちるということはありませんが、それまでの面接での点数が同じ165cmの方とどちらを採用するかということになったら、一つの指標になってしまう可能性はあると思います。
ミモの訓練同期25人を考えると、
155〜160cm…6人
160〜165cm…10人
165〜170cm…9人
といったところで、
数年前まで160cmはマスト!といった風潮があったような気がしますが、
体感としては、
年次が上のCAの方が身長が高い方が多い一方、ミモよりも入社時期の遅い後輩CAの中では153cmの方も見かけましたので、
社内の考え方が変わってきているような、そんな気はしておりました。
ANAとJALのCA 募集要項を見てみる。
ANA公式HPより引用
こちらはANAの募集要項ですが、そうです、明確な身長制限はないんですね。(JALも同様でした)
なので試験の際は個人的には(無理をしない程度に、不自然でないくらいの)ヒールのしっかりあるパンプスを履いて視線を高くするのも有効かと思います。
ただこちらの記事→ANAとJALのCA 身体検査の内容。【2021年入社版】
でお伝えしているようにANAもJALも選考途中で身長測定はあるので、いずれ正確な身長はバレるのですが。
ですのでANAやJALに関しますと、低身長の方にとって、厳格な身長制限のある外資系航空会社より挑戦しやすいのではないかなと思います。
CAになぜ身長が必要なのか。
ANAやJALに身長制限はないと先述しましたが、
それでも業務中、ある程度の身長が必要となる場面はたくさんありました。
それが以下の4つの場面です。
1.上の棚を安全に閉め、確認するため
上の棚はこういったものですが、
これまた飛行機の種類によって形状が細かく異なり、
たとえば JALですと、
JAL公式HPより引用
保有機種はこんな数あり、そのほとんどの乗務資格を入社後取得することとなるのですが、
その中でも767や737などの比較的小さい飛行機ほど低身長のCAでも閉めやすい構造になっているのですが、
787や777などの大型機となるとけっこうきつい。
ただミモの体感的に150cmの方であっても、手が長かったり脚の筋力なんかが強い方であれば閉めれないことはないかな、という感じではありました。
ただ、閉めた後にももう一度“確認作業“として上の棚の決められた何箇所を手で押してしっかりと閉まっているか全棚をチェックして回りますので、
その2度の作業を、国内線乗務の日ですと1日に3〜4回しなくてはならないので身体にかなり負担がかかることは間違いなく…
なので毎回手や脚を無理に伸ばしたりする必要のある方にとって腰などを痛めやすい環境であり、
それを考慮すると「155cmあれば安心」というのがミモの答え、そしてANAやJALなどの航空会社的にも答えとなってくる可能性が高いのです。
2.緊急時必要となるアイテムを取り出すため
飛行機の中には、海やジャングルに着陸せざるを得なかった時のためのアイテムがたくさん搭載されています。
たとえば、
こんなような「非常食」や、
こんなような「ライフボード」など。
これらがどこに収納されているかというと、これまた飛行機によるのですが、滅多に開けないような天井の隠し扉の中や、高い上の棚の中なんですね。
まずは使用頻度の高いお客様用のアイテムが手の届きやすいところに収納されていますのでそうなるわけですが、
これらをお客様の命がかかっている状況で迅速に取り出すことがCAには必要になってきます。
ミモのいた航空会社のマニュアルでは、「お客様に手伝ってもらう」とも明記されてはいますが、
腰を抜かしてしまっている可能性もあるじゃないですか。
なのでCAには、身長はある程度必要なんです。
3.緊急時を含むドアの操作のため
基本的に日系航空会社は、通常時のドアの開け閉めはCAではなく地上係員が行うのですが、
それでも飛行機によってはその必要があり、重さ何十キロもあるドアを、パーサーともなれば、1日に何回も下から上に向かって押し開けたりする必要があります。
見えにくいですが、こんなようなね。重いんですよほんとに。
また緊急時、記憶に新しいところで言うとこのような事故→https://flyteam.jp/news/article/88410
の時には、パーサーでなくとも全客室乗務員が担当のドアを開け、ドアに付属しているスライドが膨らまなければ、160cmのミモでも手を伸ばしてギリギリ届く距離のドアの端にある予備膨張紐を引いたり、
それでも膨らまなければ開いたドアの前で手を伸ばしてお客様が間違って降りてしまわないように止めたり。
平均的な体型の女性の3倍ほどの大きさはあるドアのさまざまな操作をCAは行わなければいけないんです。
そうなるとある程度の体格は必須、ということになってくるわけです。
4.機内備品を迅速に取り出すため
こちらは今までの理由と異なりサービスに関する事なのですが、
機内のキッチン=ギャレーは、天井すれすれまで引き出しがあり、
その1番上にサービスで使用するコップなどが搭載されていれば、時間が限られているフライトではそれをささっと取り出す力が必要になってきます。
JAL公式HPより引用
こちらの写真の一番上の棚など。
それは160cmのミモでも爪先立ちをしてやっとの高さなので、上述した3つの場面以外でも苦労する場合もあるんですね。
サービスが遅いとなるとまずは大先輩がピリッとしますし、
ひいてはお客様に行き届いたおもてなしができない、ということになってしまうので、
ある程度の身長があることは大切なんです。
…と、つまり高身長のCAの方が身体に負担をかけずにフライトができる、
ということは、
身体に負担がかからない→一度お金をかけて育て上げれば休職や退職する可能性もなく飛んでくれる→会社の益となる
という…
本人にとっても、そして会社にとってもウィンウィンなんです。
ただ、少し触れましたが、低身長CA向けに、飛行機の構造が近年工夫されつつあります。
次の段落で詳しく解説します。
近年低身長CA向けに飛行機が作り替えられている。
フットステップ
【ANA】
【JAL】
これらは「フットステップ」と呼ばれるもので、
通路に面しているお客様の座席の側面に密かに設置されている、“CA用のステップ“でして、
上の棚を閉める際、そして確認する際に片足を乗せ使用することができます。
160cmのミモですが、飛行機によってはこのステップを使用しないと上の棚を触れることすらできないものもあったのでよく活用していました。
あとは必死に背伸びする必要がなくなるので、身体への負担も違いましたね。
ただここに乗るとお客様との距離がかなり近くなってしまい、必要な業務と言えど不快に感じる方もいらっしゃるので、個人的にはできたら乗りたくなかったけれど。
しかしこういったステップを採用しているということは、低身長CAへの配慮でもありますので、
採用の門戸が広くなっている、と言ってもいいのではないかと考えます。
ギャレー内のフットステップ
JAL公式HPより引用
こちらは近年というより以前からあるものですが、ギャレーの高い位置にある引き出しを開ける際などに使用できるステップで、
上方にある小さいレバーを手で操作すると、矢印で示した赤い色のステップがこちら側に倒れCAがその上に片足をかけ乗ることができます。
(華奢だしバランスが難しくて最初はちょっとこわい)
低身長CAは上手くこのステップを利用してぱぱっとサービスの準備をしており、その姿はまるで忍者のようでした。
JALでは低身長CA向けのアイテムも導入している。
PRwireHPより引用
https://kyodonewsprwire.jp/release/201804193115
こちらは「タナオス」と呼ばれるもので、
JALが2018年に導入したCA用アイテムです。
こちらは上の棚を閉める動作まではできないものの、しっかりと閉まっているかどうかの確認作業には使用できるもので、
ざっくり言えば“身長を必要とする業務の半分を楽できるアイテム“です。
使用を希望するCAが受け取ることのできるアイテムらしく、
低身長CAに限ったことではなく、腰を痛めた経験があったり、そこそこ年齢がいっているCAの必需品ともなっているようで、
なんともCA想いでいいですよね。
…と、JALをはじめとして近年こういった対策がとられてきつつあるので、
低身長であるから諦める、といった決断は不要かなと考えます。
さいごに
本日は、ANAやJALのCAになるためには、身長はどれくらいあれば良いのか、という題でお話ししました。
今一度まとめると、
155cmあれば安心!
ただ近年、ANAもJALも低身長CAに向け設備、アイテムを工夫してきている!
なのでどんな身長であってもチャレンジしてみるべき!
です。
ミモの就職活動時代、6年以上前になりますが、
エミレーツ航空を受験した際、
1人ずつテープが貼ってある壁に向かって並ばされ、そのテープに手が届くかどうか、確か1次試験でチェックをされた記憶があります。
その当時はCAの業務についてこれっぽっちも理解していなかったので、
「どんだけスタイルの良い人を採用したいんだよ」などとしか考えていなかったのですが、
働いてみるとやはりお客様の命をお守りするため、
あるいはお客様の快適性のため、
細かいところである程度の身長はいるんだな、と、
だからこそなんやかんやでスタイルの良い女性がCAには多いんだなと考えさせられました。
とはいえやはりエミレーツ航空のような外資系航空会社に比べ、
アジア系(大韓航空は除く)、特にANAやJALは比較的低身長なCAが多いなあという印象でしたので、
(空港の入国審査場などでよく出くわすのでよく観察していた)
受験生の方々も身長が低めだからといってそこまで気にする要素ではなく、
それよりか人間力だったり英語力を磨くべきで、
そういったもので十分補えるポイントであると思います。
いつか来たる採用開始に向け今できる事を。
以上です!
またお会いできますように。