こんにちは!
本日は、国際線の「特別食サービス」について徹底解説していきたいと思います。
国際線に乗る際の楽しみの一つである「機内食」ですが、
実は、皆さんの想像する「ビーフorチキン」以外にたくさんの選択肢があることをご存知でしょうか。
その“特別食“を勉強し、盛り付け、お客様に提供することは、国際線CAの大事な大事な業務の一つなのですが、私もCAとして働く前まではその存在をまったく知りませんでした。
訓練で習って、まじでこんなにあるの?とびっくりした。
元日系CAの筆者が徹底解説します。
記事後半では、特別食に関するCAの本音を4つほど書いていますよ。
ではまいりましょう!
元日系CAが、国際線の「特別食サービス」について徹底解説。
今回はJALでみていきます。
内容はANAと全く一緒、外資系航空会社もほとんど変わりありません。
そしてどの特別食も、どんな方でも追加料金無しで注文が可能です。
特別食とは
幅広い食習慣に寄り添った機内食のこと。
アレルゲン対応の食事、その他健康をサポートする食事、宗教的な約束事に留意した食事など。
乳幼児や小さなお子様向けの食事も特別食に含まれる。
種類
JAL(ANA)では約20種類あり、代表的なものをいくつかご紹介すると、
もっとたくさんありますが、ミモの経験上、注文が多かったのはこのあたりの特別食でした。
その他の特別食の詳細が気になる方はJALの公式HPをご参照ください。
注文方法
JALでは、アレルギー対応食と宗教食のうちのユダヤ教ミールの予約は電話あるいはメールにて出発の72時間前までの予約、
その他の特別食は24時間前までの予約で注文が可能です。
(ANAはちょっと違うけど大体一緒)
とにかく事前予約が必要、ってことです。
CAとしてやること。
直接お客様と予約内容の確認をする
まずその内容に間違いはないかお客様と直接お話しししっかりと確認します。
(特にアレルギー対応食などは命に関わるものなので、予約段階でのミスをここで防ぐ)
CAは特別食を予約をしているお客様の名前と座席番号を把握していますが、搭乗前ギリギリに何らかの理由で座席変更がなされるorご自身で移動される場合などもあるので、お座席にお伺いして正しい内容であるか確認をし、(できるだけ)お顔を覚えます。
特にベジタリアンミールは外国籍の方の注文も多いので、英語が苦手なミモにとって、大変緊張する作業でした。
ああ懐かしい。
間違いなく盛り付け、提供する
上記の確認が済むと座席の背もたれに“この特別食を注文してますよシール“なるものを貼らせて頂くので、
そのシールの内容とお食事の内容が間違っていないか、何度もチェックをし、責任を持ってお渡しします。
基本的に通常のお食事を召し上がる方より先に提供します。
(先にお渡ししておけば誤提供を防げるため)
ビジネスクラス、ファーストクラスの場合、基本的にお客様のお食事は具材ごとで用意されているので、特別食もそれらと同じように食材を温め、盛り付けます。
特別食に関するCAの本音4つ。
こんなような”特別食”サービスですが、CAとしてはこんな苦労、本音を抱えていましたよ。
1、特別食の注文が多い路線は気が重い。
結構な手間と緊張が伴うので、正直なところ、どうしても気が重くなりました。
特にインド、マレーシアあたりでしょうか、
これらの路線は宗教食の注文が大変多く、ミモの記憶では9割以上のお客様が何らかの特別食を注文している、そんな便を乗務したこともあります。
ムスリムミール、ヒンズーミールあたりを、ほぼ全員のお客様、エコノミー席150名ほどが注文しているもんだから、
上述した確認作業から恐ろしく進まず、席も移動してたりなんかして、提供にも時間がかかり大変な思いをした記憶があります。
今日は注文が少ないといいな…、よくそんなことを考えながらゴロゴロとスーツケースを引いて空港に向かっていました。
2、興味で注文したなら(できたら)CAにその旨を教えて欲しい。
こちらはCA側の我儘になりますが、可能であればその理由を会話の中で良いので教えて頂けるとその後のサービスがスムーズになるのかな、と考えます。
先述した通り、どの特別食も証明書や診断書など無くとも誰でも注文が可能なので、CAはお客様が特別食を注文された理由まではわからないことが多いんですね。
なのでたまにいらっしゃる、“通常の食事に飽きたので特別食を頼んでみた“、というお客様の場合、
たとえばそれがフルーツミールだとしても、理由がわからないCAとしては、“フルーツ以外はアレルギーを起こす可能性があるのかもしれない“スタンスでサービスにあたるので、
お飲み物一つのサービスにしてもとても慎重になります。
宗教食に関しても、例えばユダヤ教徒食ですと開封の手順などが細かくあったりして、、、緊張してしまうので、、できたらCAとしてはその背景を知れると嬉しいのです。
できたら。
3、頼んだ方は座席移動は絶対にしないでほしい。
お座席を移動してしまうと、CAが間違った特別食を出してしまう可能性が高まります。
できるだけCAはお客様のお顔を覚える努力をしますが、基本的に座席の背もたれに貼った“この特別食を注文してますよシール“をもとに何人ものCAで一斉にサービスを行うので、
特別食を注文されたお客様は必ず予約されたお座席に居て頂きたい、それがCAの本音です。
そもそも、5人くらいのCAで200人ほどのお客様にお食事を短時間でサーブしなくてはならないという、その労働環境が間違いを起こしやすいんですけどね。
4、機内で頼まれても基本的に用意がないのでしっかりと予約しておいてほしい。
外資系航空会社によっては、機内に一定数のベジタリアンミールを搭載していると聞いたことがありますが、
日系航空会社は基本的にその用意が無いので、急なご要望には添えない可能性が高いです。
かと言って例えば長距離の羽田ーニューヨーク線でなにも食事をお出しできないなんてことはお客様が干からびてしまうので、
航空会社、あとは責任者のチーフパーサーの判断のもと、他クラスのサラダを盛り合わせたり、あるものを寄せ集めたり。
ただ通常のサービスをしつつその用意をしなくてはならないのでかなりしんどくなるという…
なので必ず事前予約をしていただきたい、CAからのお願いです。
さいごに
本日は、国際線の「特別食サービス」についてお話ししていきました。
知る人ぞ知るこちらのサービスですが、
特にアレルギー対応食などは、命に関わるものであるため、CA達はかなり気を張ってその調理、提供までを行います。
宗教食も、厳格な方だともしCAの不手際で何かを間違えてしまえば、その方の人生観を汚してしまうことになるので、
謝罪で済む問題でもなく、
裁判にまで発展した、などという話も風の噂で耳にしたことがあります。
なのでとても大事で、緊張する業務でした。
知名度は低めですけれど。
ぜひ飛行機に乗る際、食事サービスの時に周りをよく観察してみてください。
隣のお客様がしきりにCAとコンタクトを取っていたり、何故か早めに食事をサーブされていたら、
もしかしたら特別食をご注文かもしれません。
そしてもしご興味があれば、正直CAには少々負担はかかりますが、特別食を注文してみる、というのも、いつもとは違う飛行機旅を経験できて良いかもしれませんね。
以上です!
またお会いできますように。